労災@第二十九条【社会復帰促進等事業】

<選問>
政府は、この保険の適用事業に係る労働者及びその遺族について、社会復帰促進等事業として、次の事業を行うことができる。
一 療養に関する施設及びリハビリテーションに関する施設の設置及び運営その他業務災害及び通勤災害を被つた労働者(次号において「被災労働者」という。)の円滑な社会復帰を促進するために必要な事業
二 被災労働者の療養生活の援護、被災労働者の受ける介護の援護、その遺族の就学の援護、被災労働者及びその遺族が必要とする資金の貸付けによる援護その他被災労働者及びその遺族の援護を図るために必要な事業
三 業務災害の防止に関する活動に対する援助、健康診断に関する施設の設置及び運営その他労働者の■■■を図るために必要な事業
・安全及び健康の確保、保険給付の適切な実施の確保並びに保険給付の支払の確保
・安全及び衛生の確保、保険給付の適切な実施の確保並びに賃金の支払の確保
・賃金の支払の確保
・安全及び衛生の確保、保険給付の適切な実施の確保


<択問>〇か×か?
労働基準監督署長の行う労災就学援護費の支給又は不支給の決定は、法を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使とはいえず、被災労働者又はその遺族の権利に直接影響を及ぼす法的効果を有するものではないから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないとするのが、最高裁判所判例の趣旨である。


解説@選問
■■■には「安全及び衛生の確保、保険給付の適切な実施の確保並びに賃金の支払の確保」が入る。


解説@択問
「当たらない→×」「当たる→〇」


■ポイント
択問は平成29年に出題された問題(2003年の最高裁判所判例)でしたが、とっても難しい問題でした。2003年の判例からも出題されることを考えれば、最近の判例だけでなく、やはり幅広く判例について触れておく必要があるのかもしれません。ただし他にもたくさん覚えないといけないことがありますので、あまり深くやりすぎるのもどうかと思います。社会復帰促進等事業については、労働一般常識からも出題される箇所であり、事業の内容は把握しておきましょう。


◆条文
第二十九条 政府は、この保険の適用事業に係る労働者及びその遺族について、社会復帰促進等事業として、次の事業を行うことができる。
一 療養に関する施設及びリハビリテーションに関する施設の設置及び運営その他業務災害及び通勤災害を被つた労働者(次号において「被災労働者」という。)の円滑な社会復帰を促進するために必要な事業
二 被災労働者の療養生活の援護、被災労働者の受ける介護の援護、その遺族の就学の援護、被災労働者及びその遺族が必要とする資金の貸付けによる援護その他被災労働者及びその遺族援護を図るために必要な事業
三 業務災害の防止に関する活動に対する援助、健康診断に関する施設の設置及び運営その他労働者の安全及び衛生の確保、保険給付の適切な実施の確保並びに賃金の支払の確保を図るために必要な事業
2 前項各号に掲げる事業の実施に関して必要な基準は、厚生労働省令で定める。
3 政府は、第一項の社会復帰促進等事業のうち、独立行政法人労働者健康安全機構法(平成十四年法律第百七十一号)第十二条第一項に掲げるものを独立行政法人労働者健康安全機構に行わせるものとする。

【参考】
労災就学援護費不支給処分取消請求上告事件
判決理由 最判2003年9月4日
〔労災補償・労災保険-補償内容・保険給付-リハビリ、特別支給金等〕
 労災就学援護費に関する制度の仕組みにかんがみれば、法は、労働者が業務災害等を被った場合に、政府が、法第3章の規定に基づいて行う保険給付を補完するために、労働福祉事業として、保険給付と同様の手続により、被災労働者又はその遺族に対して労災就学援護費を支給することができる旨を規定しているものと解するのが相当である。そして、被災労働者又はその遺族は、上記のとおり、所定の支給要件を具備するときは所定額の労災就学援護費の支給を受けることができるという抽象的な地位を与えられているが、具体的に支給を受けるためには、労働基準監督署長に申請し、所定の支給要件を具備していることの確認を受けなければならず、労働基準監督署長の支給決定によって初めて具体的な労災就学援護費の支給請求権を取得するものといわなければならない。
 そうすると、労働基準監督署長の行う労災就学援護費の支給又は不支給の決定は、法を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使であり、被災労働者又はその遺族の上記権利に直接影響を及ぼす法的効果を有するものであるから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるものと解するのが相当である。